探求型の仕事(2/2) 〜 適応力

グーグルでのように「組織のメンバー全員」が何かしらの挑戦をしている企業は強いというイメージは湧くでしょうか?組織力には「計画に沿って確実な実践を通じて成果を出すべき力」と、「状況に合わせて計画を変更し、適応をしていく力」の二種類があります(下図ではそれぞれ「戦略的パフォーマンス」と「適応的パフォーマンス」と表現しています)。

計画を遵守することは重要だとはいえ、東日本大震災のような状況になった際には適応することが必要になります。今の時代は、日中の貿易戦争や人口減少による市場環境の変化、AIなどの技術を活かしたイノベーターの台頭など、状況の変化が激しくなり、より適応力の重要性が高まっています。そういう状況ですので、最前線の担当者が自らの判断で適切な意思決定や行動をできるように自律型の組織づくりに取り組む企業が増えています。

マネジメント職であるならば、「組織の状況に合わせた適応力を高めるにはどうしたら良いか?」という研究が必要です。事業計画を策定し、その展開をしている企業は多いと思います。KPIなど目標管理の仕組みもあるでしょう。それらを大切にしながらも、取り組みだして顧客の動きが変わった、チームの力量が上がって課題が変わった、など状況に変化が生じたら「計画」や「目標」は進化すべきです。大きな変更でなくとも、状況に合わせた小さな変更をしていくことがとても重要です。

 そのような小さな工夫・変更をしているかどうかが、「適応的パフォーマンス」を測る一つのポイントになります。少し事例を挙げてみたいと思います。一つは、小学生のお子さんを持つ知人の話です。最近、お子さんの教育における重大な欠陥を発見したそうです。『算数の勉強を見てあげていて気がついたのですが、息子は「テストの問題を解く」と、そこで関心が途切れる。「なぜそうなったのだろうか?」「他にどんな解き方があるだろうか?」という関心を示して探求をしていない』のだそうです。大量の塾の宿題をこなすことに精一杯で「問題を解けること」が目的になり、「本質を分かること」が目的になっていない感じです。

 もう一つ気になる話がありました。とある大学スポーツチームの選手が「トレーナーに与えられたトレーニングメニューしかしない」という話です。そのチームは日本一を目指すという目標を掲げて頑張っているチームなのですが、「言われたことをやるだけ」になっているのです。トレーナーが科学的な分析によりメニューを組んでいたとしても、それは平均的な話でしかなく、自分の場合は違うかもしれません、今日の調子は違うかもしれません。自分の肉体の限界を自分で確かめながら、トレーナーの指導を超えていくという探求をしていないのです。

 仮説ですが、親や塾に与えられた教育(外的コントロールでの教育)をこなすことが習慣となり、勉強やトレーニングで自分を成長させていく楽しさを知らない世代が育っているのではないか?と少しゾッとしました。そうだとすると、これからの時代に必要な能力の真逆をいっています。なぜそうなるのか?現代の社会システムは高学歴で社会的地位を得ることが有利に働く環境ですし、愛情深い親が社会システムに競争をさせられているのだと思います。受験に受かることは重要かもしれませんが、将来の可能性を潰すような教育であってはいけません。人や社会に貢献をして喜ばれるには知識やスキルが必要ですが、知識やスキルがあったとしても探求の楽しさを失ってしまうと人は良い仕事をできません。そういう探求の楽しさを組織内に広めていければと思います。

先月発表された、産業能率大学 総合研究所の「新入社員の会社生活調査」によると、「業務時間外で勉強(セミナー、通信教育、学校、自習など)したいと思いますか? 」という問いに対して、「自己負担でも勉強をしたい」と回答をした人の割合は13.6%でした。7人に1人です。これは多いのでしょうか?少ないのでしょうか? 

 なぜ自社サービスが選ばれているのか? どのような場所でどのような役割を期待して使われるのか? そもそも顧客はどのような活動をしているのか? 教科書に書いてあることを暗記させるようなつまらない勉強ではなく、現場で話をし、自ら発見するような楽しさを味わえるような環境設定が大切です。挑戦するゆとり、失敗する権利をチームメンバーに与えているでしょうか?仕事の楽しさを味わえる組織が増えることを願っています。

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