「わかる」を「できる」に変える 実践経営パートナー

人が育つ環境③

前回のブログの中でフロー理論を紹介しました。
その中で「簡単ではないが、達成見込みの感じられる課題に挑戦している」
が人が仕事に没入する条件の一つでした。
マネジメントの立場からすると、
「適切な課題に挑戦させられているか?」
という問いになります。

「その人にしかできない役割を持たせられているか?」
 「その仕事の価値を感じさせられているか?」

という問いが大事になります。
ドラッカーが示したマネジャーの2つの役割の一つは
「部分の和よりも大きな全体、
 すなわち投入した資源の総和よりも
 大きなものを生み出す生産体を創造すること」 です。

そのためには「分業」が必要になってきます。
「単純に仕事を分担する」だけでは うまくいきません。
分業の仕方としては大きく二つあります。
千羽鶴を100羽ずつ10人で折るような
「同じ仕事を複数人で分けて行う」スタイルと
野球の守備のように
「各人が違った仕事を分担する」スタイルです。
前者の方が、仕事が完成した時の達成感はありますが、
「自分でなくてはならない」という自分の価値は感じにくくなります。
後者は、自分の持ち場が明確ではありますが、
組織が巨大になると仕事の結果とのつながりが感じにくく、
自分の役割の価値がわかりにくくなります。

組織の大きさ、仕事の種類によって変わりますが、
両方を満たすように「分業」することが大事になります。

その時に、大事になるのが、
組織として挑戦するテーマ設定です。
組織の力量や課題に合わせて、「今何に取り組むべきか」
を決めて、全員と共有することです。
共有すると言っても、一度話して終わりとか
何かに書いて貼り出しているだけでは不十分です。
課題解決までの全体像を示し、
「誰々にこれをやってもらう」
「この部分は◯◯君よろしく」
と、各人のスキルレベルに合わせて
共通の目的と結びつけて仕事を割り振ります。
そして、各人のタスクが節目を迎えるごとにその成果を共有し、
仕事の価値を評価される機会を設ける必要があります。
そういうマネジャーの丁寧な意味づけによって、
自分の「居場所」があると感じられ、
自分の「役立ち感」を高めていくことができるのです。 

そのような感覚を手にした人たちは自ら進んで仕事をするようになります。

つづく

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