「わかる」を「できる」に変える 実践経営パートナー

文化の違いによるコミュニケーションのあり方

組織文化が変われば、リーダーシップスタイル・マネジメントスタイル・コミュニケーションスタイルを変える必要があります。
しかし、文化の違いとは目に見えません。
見極める視点と観察が必要になりますが、
今回は一つの視点を提供してみたいと思います。

文化の違いに関する研究では「ヘールト・ホフステード」の研究が有名ですが、
今回は、昨年上梓された、
Erin Meyer の「The Culture Map」 の内容を一部紹介してみたいと思います。
コミュニケーションに関する2軸で違いを分類した図が分かりやすいので、
それを紹介してみます。

1軸目は
阿吽の呼吸で物事を伝えることのできる ハイ・コンテクスト文化
 物事を明確に示すことでコミュニケートする ロー・コンテクスト文化の違いです。

ハイ・コンテクスト文化では、「あれやっといて」で物事が通じたりします。
「いちいち説明させるな」「皆まで言わすな」と背景を慮ることを求められることもあります。
一方、ローコンテクスト文化では「具体的な指示」を与えないと相手は動かなかったりします。
恋人に対し「愛している」と直接的に言わないと伝わらないかもしれません。
この文化の違いを理解できていないと、ミス・コミュニケーションの原因になります。

2軸目は
「ここは間違っていますね」などと
直接的な指摘が一般的な文化 ダイレクト・ネガティブ・フィードバック をする文化と
遠まわしな表現や、指摘ではない別の方法を使う
間接的な指摘が一般的な文化 インダイレクト・ネガティブ・フィードバック の文化です。

1軸目を縦に、2軸目を横にして、国別にプロットすると下図のようになるようです。

この図を見ると、日本は右下
「ハイ・コンテクストで直接的な指摘をしない文化」ということになります。
アメリカ(US)は真ん中上方に位置し、ローコンテクストで
否定的なフィードバックは直接と間接の中間だということです。
左側に位置するドイツ(Germany)やイスラエル(Israel)では、
否定的なフィードバックも直接行っても相手は感情を害さない文化
ということが言えます。

総じてアジアはハイコンテクストで否定的なフィードバックには気を使わないといけない文化
だということが言えそうです。

単一民族ははいコンテクストの文化になりやすく
移民や多様な民族が形成している国家ではローコンテクストになるようです。

これは、国家間の違いだけでなく、企業間の文化の違いにも当てはまります。
グローバル企業では今後、ローコンテクストの文化に移行していくことが考えられます。
一方、ローカルな企業やプロパー社員だけで構成されるでは、
ハイコンテクスト文化のままで推移するでしょう。

そうなると、転職や企業合併の際には、
この文化の違いを理解して対話を進めていくことが重要になります。

因みに、 Erin Meyerは日本のようなハイコンテクストで間接的な指摘の文化の国では、 
*公の場で指摘は決してしてはいけない
*時間を延長して指摘を続けるのもダメ
*良い評価だけを与え、改善が必要な箇所には触れないのが良い
などと解説しています。ご参考まで。

SNSでフォローする