「わかる」を「できる」に変える 実践経営パートナー

「お前はもう死んでいる」と言われないために

経営者としていくつかのコミュニティに参加しているが、
今月は『パッションリーダーズ』というコミュニティの賀詞交歓会に参加した。
http://www.passion-leaders.com/
代表の近藤太香巳さんは本当に器が大きく、
多くの後輩を成功へと導いている素晴らしい経営者だ。
まさに日本を元気にするコミュニティとして成長し続けている。

そんな交流会で一人の経営者と隣の席になった。
「私は交流会で初対面の人と仲良くするのはあまり得意ではないのです」
と最初の一言も印象的な彼は、100人の社員を抱え悩んでいた。

彼は悩みはこうだ。
「社員は自分が『こいつは』と思うのを引き抜いてきて昨年勝負に出た。
 しかし、昨年の後半から失速して、今ピンチなのです。
 リストラはしたことがないけど、しないといけないかもしれない」

交流会での少しの時間で相手の会社の事情を詳しくは聴けない。
リストラすべきかどうか、その場の私に言えることではない。
「そうなんですね」と私。

「今まで人を切らずにやってきた。
 ここで社員を切ったら会社は残ることができる。
 しかし、社員というのは自分の体の一部でしょう。
 一度切ってしまったら自分が自分でなくなるような気がする

と言って、私が起業した理由や本を書いた理由を質問される。

そこで私も一つの質問をした。
そもそも起業された時の志はなんだったのですか?

しばらく考え込む彼。
そして、「分かりました。
社員がワクワクする会社を作りたかったのです。
『今、ワクワクさせられているか?』
そういう事を考えていなかった。ありがとうございました。
やることが決まったので、今から会社に戻ります」
と握手をして会の途中で去って行かれた。
 

真剣な人は決断も行動も早い。
真剣な人にアドバイスはいらない。

その真剣な人は借り入れを起こし、
社員と一緒にもう一度挑戦されているのだろう。
成功を祈っている。

 

リストラにまつわる別の話。
大和ハウス工業の樋口会長が先代のオーナーから子会社の社長を任命された時の話。
子会社は巨額の債務と赤字を抱え、経営が行き詰っていた。
そこの社員は「進駐軍が来た」と戦々恐々としている。
周りの人はリストラをして、事業を縮小し、生き残ることを勧めてくる。

しかし、樋口さんは、
社員を切るどころか「毎年100人採用する」という選択肢をとった。
そして、組織変革を通じて勝負をかけ、見事2年で黒字企業へと立て直されている。

もし、リストラをしてその時点で採算が合う状態に事業を縮小していれば、
「優秀な社員から辞め、じり貧になって倒産していたであろう」と仰っている。
社員の価値は財務諸表では測れない。
活かすも殺すも経営者の思想次第なのです。

「リストラは絶対にいけない」という主張をするつもりはない。
企業の置かれた環境や事情でやむを得ない時もあるであろう。
ただ、肉体的に生き延びたとして、精神的な死を迎えては意味がない
精神が死んでいなければ、恐れるものは何もない。

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