「わかる」を「できる」に変える 実践経営パートナー

異論との接し方

③思考の枠組みを変える。
次は解釈の違いを是正する方法です。
管理職と部下では考えている範囲が違うことで結論が違っていることがあります。
「時間軸」「影響範囲」「目的」の3つの軸で
思考の枠組みの違いをチェックしてみましょう。

例えば、短期的には良い方法でも長期的にみるとリスクが大きい場合や、
売り込む対象顧客だけを考えている場合と、
競合他社を含んで考えた場合では結論が違ったりします。
こういう場合は、両者のメリット/デメリットを整理させたうえで、
本人に選択させ直すことが有効です。

目的に関しても同様です。
帳票を作成することが目的になっている人と、
その帳票を活用して成果を出したい人とでは、あるべき姿が変わってきます。

議論の収束が見えなくなった場合は、
「どういう基準で解釈しているか」
モノサシの違いをチェックしてみるのが一つの方法です。

④相手に議論をまとめてもらう
約束したはずのことが実行されていなかった経験はないでしょうか?
総じて、人は自分の意見に縛られて、他人の考えを受け入れるのが苦手です。
意見交換をした結果、どういう理解に至っているか、
『議論のまとめ』を相手にしてもらうことで理解度が分かります。
この1工程を加えるだけで、「こんなはずじゃなかった」が激減します。

時折、「頭の中では分かっているんだ」と仰る方もおられますが、
頭の中にあっても、説明できないことは「分かっていない」ということです。
その水準では、実行レベルは上がらないし、他人に教えることもできません。
基本的にアウトプットできたことだけを実力と考え、
自身を成長させていくのがスマートだと思います。

⑤「テスト」にする
人は必ず偏見を持っています。
「過去の経験」「周囲の意見」「情報のインプットのされ方」などに影響されます。
性善説と性悪説のどちらが正しいということは無いのですが、
育った環境の影響で「人は裏切るものだ」と感じる人と、
「人は信頼に足るものだ」と考える人がいます。
そういう場合は、同じ情報を持っても結論が違ってきます。
そして、このような偏見は議論だけではなかなか変わりません。

「偏見は経験によってしか変えられない」と判断した場合には、
「どっちが正解という事は言えない。一度、こちらで試してみませんか?」
ということを提案して、挑戦してもらう方法があります。
ここで注意をしないといけないのは、
「結果を信じていない人は、(悪気なく)持論を証明する為に行動してしまう」
ということです。

新商品が「売れない」と思っている担当者に対し、
マネジャーが「新商品を売ってみよう」ということを合意しても、
売れると思っていない人は、そこそこのトライはするものの、
途中で諦めて「やっぱり売れなかった」と、
自分の説が正しかったことを証明してしまうということです。

「やるからには正解にするように挑戦する」ことを約束したり、
一定の期間(少なくとも3か月以上)は諦めないことを約束してみる工夫が必要です。

 

◆最初の一歩を決めましょう
如何でしたでしょうか?
ご自身のコミュニケーションの改善点はありましたでしょうか?
コミュニケーションを改善する際には、「話をする機会を持つ」だけでなく、
コミュニケーションの質にも目を向けて頂きたいと思います。

コミュニケーションの質は反復して活用する中で高まります。
上記5つのコツの中で身につけたいものを
「スキルメモ」として手帳などに記載し、持ち歩いていただきたいと思います。

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