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その営みは積もり積もったら山になるのか?

戦略には大きく2種類の戦略があります。
一つは、段階的に手順に沿って物事を進めていく「順次戦略」で、
もう一つは、小さな成果が蓄積されたところで一気に効果を発揮する「累積戦略」です。

ビジネスを成功させるためには、
この二つの戦略は同時並行で進めることが肝になります。
『目標を達成する為の施策体系を構築し、
 アクションプランで計画を立てて、
 段階的に物事を進めていく』のが順次戦略で、
『日々の活動の中で、理念やビジョンを語り聴き、
 行動指針に沿った行動を反復することで、
 いつしか「考え方」「感じ方」が浸透し、 
 組織としての力を発揮する』のが累積戦略です。

 これは社内向けだけでなく、対外活動でも同じです。
先日、クライアントの営業リーダーが見事に累積戦略で市場の攻略に成功しました。
以前は、見込み案件を教えてもらえず、競合他社に流れて行っていたのですが、
顧客から問い合わせが来るようになったのです。
(相見積りであっても選択肢に入れるようになった)

この営業部隊は、案件ごとに折衝を行い、
自社品が採用されるように営業をしているのですが、
「簡単に引き下がらない」「獲られた後でも諦めない」という方針の元、
その交渉の仕方を変え、その積み重ねによって、
顧客のその企業に対する「考え方」「感じ方」を変えています。
要は、「相談すれば最後まで価格対応などの検討をしてくれる」
「後で隠していたことが分かるとしつこいので面倒だ」などと、
選択肢に入れたほうが良い、という認識に変わったのです。

それが実現できたのは、リーダーのマネジメントにあります。
『平均単価が下がるようなことはしてはいけないが、
スポットで価格を出すのは承認してやるからドンドン勝負をしろ』
『獲られて「はい。そうですか」と簡単に引き下がるな、
 嫌味の一つでも言って来い』
という方針をだし、営業に勝負をさせていったのです。
そして、トップ営業で自分がやって見せています。

言葉にすると、それだけなのですが、
営業マンは顧客を説得できないと上司を説得してきます。
上司が妥協すると、
「できない理由」で自分を納得させて安住してしまいます。

そういう点を許容せず、一つ一つ妥協を潰しこんでいく。
そのような「諦めない姿勢」を示し続けていくことで、
社員が諦めずに、もうひと交渉できるようになり、
顧客からしてみると、「相談にしておいた方が良い」という認識に変わったのです。

 この営業戦略が最上かどうか、という議論はありますし、
どうやって交渉をするかというハウツーも必要になりますが、
この事例から学ぶべき点は、
『リーダーの覚悟によって、顧客の意識を変えている』という点にあります。

意識を変えたい対象が、市場全体なのか、
特定の顧客企業なのか、はたまた社内組織なのか、
様々なケースがあると思いますが、
意識を変える為には「累積戦略」が必要で、
「累積戦略」を成功させるためには、
リーダーの強烈な意志、覚悟がなくて実現できないということです。

マネジメントの仕組みを構築したり、
研修で単発のトレーニングをしても無駄に終わるケースもあります。
それは、この累積効果が現れるまで実行していないことが殆どです。 

もし、「周りの社員の意識が低い」「顧客の認識を変えたい」
という問題意識がある方がいたら、 累積戦略を考えて欲しいと思います。
キャッチコピーの質や、誰がどこで発信するのかという場面設定など、
近道をする方法はありますが、
どのような方法をとるにしても、閾値を超えるまで積み重ねることが大事です。

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