前回のコラムでは、部下を活かせるリーダーの条件として
「確定した部分」
「挑戦する部分」
を区別して、必要な箇所に力を集中させるという話をさせて頂きました。
では、
部下の問題解決の場面で
何を前提(確定した事)と考え
何に着目をして問題解決をすればよいでしょうか?
答えをお伝えする前に
一つの視点でマネジメントを考えてみたいと思います。
それは「性善説」と「性悪説」です。
「性善説マネジメント」とは、
人は良い仕事をしようと考えている。
自ら進んで挑戦したり、問題解決をすることが好きな生き物だ
と考えてマネジメントをすることで、
部下に仕事を任せ、仕事を認め、批判せずに公平に評価していくスタイルです。
「性悪説マネジメント」とは、
人は怠けたがる生き物で、
放っておくと仕事をしなくなるし、責任も取りたがらない
と考えてマネジメントをすることで、
指示命令で部下を動かし、アメとムチによって使役しようとなりがちです。
多くのマネージャーは前者でありたいと考えていると思いますが、
なかなか思うように事が運ばないと、
いつのまにか後者のマネジメントになってしまっている
というのが現実であったりします。
しかし、私の経験から申し上げますと、
人には根源的に「良い仕事をしたい」という欲求があります。
これは間違いありません。
そのような思いが一時的に失われているとしたら、
それは力を発揮できない環境であったり、
失敗続きで情熱を失っているだけなのです。
どんな仕事であろうが、
その仕事に価値を感じ、
正当に評価される環境に置かれれば、人は力を発揮しようとします。
ここまで読まれて
「そんなことはない。全くやる気のない人間だっている」
「やる気のある集団と一緒に仕事をしてきただけじゃないか?」
という発想をしてしまった方がいるとすると、
その発想が部下のやる気を制限していると考えて間違いありません。
一方で、「性善説」で部下に仕事を任せっきりにすると、
上手くいかない場合があります。
仕事のスキルや腕が足りなくて、成果を出せなかったり、
行き詰まったりしてしまうからです。
大事なことは、
「人は信じるが、人のする仕事は信じない」
という姿勢になります。
しっかり計画を考えられているか?
しっかり進捗させられているか?
ということはしっかりモニタリングをしながら、
部下が成功できるように支援することが大事になります。
人の根源的な欲求を疑って、
性格改造などに取り組んでも全くの無意味です。
大事なのは、マネージャーが自らのマネジメント力を磨き、
仕事上の障害を取り除き
部下に力を発揮できるようにしてあげることです。
「人は信じるが、人のする仕事は信じない」
を大切にして頂きたいと思います。