「わかる」を「できる」に変える 実践経営パートナー

振り返りの心技体:技

成果を出す人は、活動ごとに節目節目で振り返りをしています。
その振り返り方が良い人はさらに成果を出してくことができます。
では、良い振り返りとはどうすれば良いのでしょうか?

成果を出すためには、振り返りにおいて以下の3点が重要です。

【振り返りの型】

① 『やったかどうか?』ではなく『出来たかどうか?』で判断する。
 (出来ている根拠を客観的に示せる)
② 『誰でも同じ判断になる客観的な基準』を設定する。
  (やる事⇒なりたい状態を描く)
③ 次にやるべき行動を決める。
 (出来た事は再現策、出来なかった事は対策)

まず、『やったかどうか?』ではなく『出来たかどうか?』で判断する。
ということは当たり前のように感じるかもしれませんが、
この「どうなったらできたと言えるのか?」という点に関して、人の基準は様々です。
「商品の紹介ができた」で⚪︎(マル=できた)と考える人もいれば、
「商品の紹介をした結果、お客様が興味を示し質問をしてきた」で⚪︎の人もいれば、
「商品を紹介したならば、契約に至らないとできたとは言えない」という人もいます。
成果に近い基準を持っているマネジャーからすると、
「商品紹介だけで⚪︎だ」という部下がいた場合に、
「それではできたとは言えない」と感じてしまいます。

しかし、その個人差を今回の型①では問題にしていません。
大事なことは、まず「自分を偽らない」ことです。
自分が欲しい成果(ゴール)に対して、仕事の結果を評価するのが大事だということです。
「最終的に実績につなげる」ことを目的に仕事をしている人であれば、
「できた」と考える基準は自ずと成果寄りに変わっていきます。
成果につながっていないのに「商品紹介」で⚪︎だと考えている人がいたとすると、
それは成果目標を目指していないか、自分を偽ってしまっているということでしょう。

自分を偽ってしまいがちになるのは、最終ゴールよりも途中経過に対する振り返りの場面です。
最終成果は同じであっても、いつまでにどこを通過すべきかは状況によって変わります。
営業では、ずっと話も聞いてくれなかった人が、何かのきっかけで急激に興味を示し、
商品を購入されることがあります。
逆に、トントン拍子で話が進んでいるように見えて、
結局購入してもらえないということもあります。
ですので、日々の訪問ゴールに対して厳密に振り返ることに何の意味があるの?
と考えたくもなるでしょうし、
「目標が違っていた」と自分を納得させたくもなるでしょう。
そして、「最終的に帳尻を合わせられるから、ま、いっか」となってしまうのです。

ここで考えるべきは、「何のために振り返るのか?」ということです。
ゴールが適切であろうがなかろうが、状況を分析し、自分を成長させ、
成果につなげるヒントや工夫を発見することが振り返りの目的です。
未来を良くするためのヒントが得られるように、
目標の妥当性だけでなく、業務プロセスも分析してみることが必要です。

「人は弱い生き物である」ということも考慮に入れておくと良いでしょう。
「酒は1日に1杯まで」と決めていたとしても、
「明日は飲まないから今日は2杯にしよう」
と自分を正当化する理由を考えてしまうものです。
「毎日100%、酒は1杯まで」と
自分の言い訳を許容しないように目標を決めることが大切になります。

そういう目標を設定するコツが振り返りの型②になります。
ここも(セルフ)マネジメントのスキルが低いとうまくできないケースがあります。
「社内コミュニケーションを改善する」という取り組みを行っている場合、
その活動をうまく振り返るための達成基準を設けるには頭を使います。
社内コミュニケーションの達成基準を具体化していく作業を例にとると、
「毎日、全員と話をする」
「毎日、全員と話をした結果、相手が笑顔になる」
「毎日、全員と話をし、全員の問題発見か解決を行う」
「毎朝、全員が『おはようございます』と言ってオフィスに入ってくる」
「毎朝、全員がオフィスに入るときに窓際の席の人にも聞こえる声で挨拶する」
「毎朝、全員がオフィスに入るときに窓際の席の人にも聞こえる声で挨拶し、
 オフィスにいる人全員が挨拶を返す」
などと、基準にしてみると、その種類は無数に考えられます。
言い出したらきりがないし、具体的な一つだけができてもダメな気もします。
そこで、「その組織にとって重要なことは何か?」
「成果を出すために何が一番重要なのか?」
「象徴的な変化があるとしたら何か?」
ということを考えて基準を設定しておくことが必要になります。

部下との信頼関係が構築できた尺度として、
「毎朝、全員が向こうから顔を見て挨拶をしてきてくれる」とか、
「家庭の悩みを3人から相談される」とか、
達成のイメージが湧くように設定してみると良いでしょう。

基準が明確になると、「できなかったケース」が増えるかもしれませんが、
同時に「できた」という満足いくケースも増えますし、
マネジャーにとっては部下を認めるポイントにもなっていきます。

そして、最後に大事になるのが、次のアクションを100%必ず決めることです。
少し長くなりましたので、今日はここまでです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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ペネトラ・コンサルティング株式会社
代表取締役 安澤武郎
お問合せ: info@penetra.jp

著書:『壁をうち破る方法』はこちら
http://www.amazon.co.jp/dp/4799314378/
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