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標準化を成功させる視点(2/3) 〜 規定演技と自由演技

人は誰もが幸せになりたいし、楽しく仕事がしたいと考えていますが、
必ずしも楽しくできるとは限らないという話です。
思い通りの結果を出せない時や、仕事の進め方に納得がいかない時は、
前に進めなくなることもあります。

この後者(仕事の進め方に納得がいかない時)について考えてみたいと思います。
これは集団で社会を構成する「人間」に生まれた瞬間からついて回る宿命のようなものです。
子供の時代は親からルールを設定されたこともあると思いますし、
社会のルールを逸脱して生きていくことはできません。
小さな組織でも意見の合わない人がいたり、
物事の進め方に関して我慢をしなければいけないことが出てきます。

楽しく仕事をするためには、
自分の思い通りのルールで仕事を進められるようにする努力も必要ですが、
どこかで我慢をして、自由に挑戦できる範囲を楽しむスタンスも必要になります。
いわば、「規定演技」と「自由演技」の使い分けが楽しく仕事をするコツということです。

盲目的に(規定演技の)ルールに従わねばならないということではなく、
ルールを変える提案は可能ですし、すべきことです。
「ルールありき」「前任の受け売り」になってしまえば、組織は停滞します。
多様な意見を受け止め、環境の変化に合わせて
ゼロベースでルールを再考することも課題であったりするのですが、
勝手に黙ってルールを逸脱すると我儘とみなされますし、
「ばれなければ良いや」と考えてコンプライアンス違反をすると、
問題が大きくなってから発覚します。
横浜マンションの杭の問題が話題になっていますが、
一旦ルールを踏み外すと、その問題を隠し通すために無駄な仕事が増え、
人は疲弊していきます。

社会的使命を帯びた組織で仕事をしていくときには、一定水準の仕事を求められます。
企業として社会により大きな価値を提供するためには、
「倫理的である」「価値提供するために勉強する」などは「規定演技(MUST)」でしょうし、
「地図を描く」「話し合う場を持つ」などの行動も規定演技になるはずです。
それは、現代の荒海を乗り越え、冒険に成功するために必要になってきたMUSTです。
それらを守った上で、目的地までのコース取りや取り組む態度
(面白おかしくやるのか、悲壮感を漂わせてやるのか)などは自由ですので、
自分で決めれば良いのだと思います。

従来の企業では「阿吽の呼吸」や「情緒的な取り組み」で
「地図を描く」「話し合う場を持つ」などは規定演技ではなかったかもしれません。
「会議をしている暇があったら外に出ろ!」と言われたことがあるかもしれません。
しかし、時代が変わり、今は「規定演技」にしないと
競合以上の価値を発揮することができません。
そこをどのように取り組むかは自由ですので、
工夫をして楽しく取り組んでいただきたいと思います。

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