第99話 人材育成をスタートする際に考えて欲しいこと(3/3)

承前

学ぶ構え

最初の「子どもの教育」の話に戻りますと、
大人の育成でも同じことがあるかと思います。
まず最初に関心のあることを徹底的に深めさせることも一つの方法です。
本人が「関心のあるテーマ」「得意なテーマ」を設定して追求させるのです。
そこで、PDCAを回しながら、問題を乗り越えることができれば、
「深める楽しさ」を味わうことができるはずです。

そして、その取り組みをしっかり振り返って頂きたいと思います。
取り組む前と後で「世界が変わる」という経験ができていれば最高です。
「うまく進めることができずにもがいている時の世界」と
「当たり前にできるようになった後の世界」は違って見えるはずです。
人間は、自分が捉えているように世界を見ます。
つまり、自分の認識の仕方一つで世界が変わって見えます。
自分が変われば世界は変わるのです。そういう経験をした人は、
「未知の世界」を目の前にした時、「そこに何かある」と、
自分の知らないことを否定せずに、探求することができます。

こんな事例もあります。
最近ネットで話題になったライフネット生命の岩瀬社長の記事です。

ライフネット生命がまだ準備会社の頃。
「どうしてもインターンがしたい!」とやってきた学生がいた。
いちどは断ったが、ドアの前で待ち伏せをする熱意を見せられ、
「ちょっとだけ手伝っていいよ」と受け入れに至った。
岩瀬氏が頼んだ仕事は、名刺のデータ入力。
当時は名刺管理ソフトもあまりなかったため、エクセルへの入力を頼んだが、
2週間ほど経過した後、学生はこう言って辞めていってしまったという。
「自分はマーケティングとかそういう仕事がしたかったのに、
 なんでこんな永遠に名刺を入力しないといけないんだ」

この記事に対して、ネット上では一部「ブラックだ」という批判も出ていましたが、
多くの人は、このインターンに対して「勿体無いことをしている」
「仕事の価値がわかっていない」と岩瀬社長を擁護するものでした。
岩瀬社長も「仕事が名刺のデータ入力という単純作業でも、
 『こんな会社がある』『こんな組織になっている』
 といった多くの気付きがあるはずだ」と指摘。
「単に入力するだけではなく、
 『地域別・業種別・組織別に分ける』などの工夫もできたはず」と加えています。
また、学生が名刺のデータ入力をつまらない仕事と捉えてしまったことに対し、
「面白い仕事なんてない」と断言。
仕事は全部一緒なんですよ。ただ、それを面白くできるかどうか。
 自分で工夫できるかどうかだと思います」と、

仕事との向き合い方を述べています。
忙しさの中で「近道」を求めることに慣れ、探求をしていない人や、
「青い鳥」を求めて、無い物ねだりをしている人は、
営業であれ、技術職であれ、管理職であれ一様にパッとしません。
自分の世界が広がらず、頭打ちになってしまうからです。
「未知の世界」に足を踏み出す力は、今の時代に仕事をする上で欠かせません。
この未知の世界を探求する姿勢(学ぶ構え)を作ることが
育成のスタートではないかと思います。
2016年、自分自身の「仕事に対する姿勢」を大事に
良いスタートを切って頂きたいと思います。

参考:「インターンに単純作業」はブラック労働なのか? 

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