目標への挑戦意欲を高める

目標を決める際に、目標を与える際に
「どの水準で設定すればよいのか?」に頭を悩ませたことはないでしょうか?

目標を目指すことで人の知恵や能力が引き出されることが大事なわけです。
どれほどの難易度の目標であれば人の能力は引き出されるのでしょうか?

これを研究したのが、シカゴ大学の心理学者ミハイ・チクセントミハイです。
人が寝食を忘れて物事に没頭する状態を「フロー」の状態と名づけました。
同じ時間でも自分の好きなことをしている時間と、
つまらない作業をしている時間では感じ方が違います。

スポーツをする際にも我を忘れてプレーに集中できている時と、
雑念が頭から離れず集中できていない時があるでしょう。
この集中できている状態をどうすれば作れるのか?という研究です。
その研究で、目標は難しすぎても簡単すぎてもダメということが証明されました。

これは感覚的に分かるかと思います。
難し過ぎれば本気で挑戦できない。
簡単すぎても張り合いがなくて頑張れないということです。

組織で目標を設定する時のポイントは、
人によってこの感じ方が違うということです。

ある人にとっては魅力的で挑戦しがいのある目標でも、
ある人にとっては難しくて達成できる気がしないということが起きます。

ここでチームメンバーを束ねていくために、マネジャーの役割が大事になります。
目標の魅力度(達成したい)を高め、
実現可能性(できそうだ)を感じさせるためのシナリオ作りが必要になります。
より難易度の高い目標でも挑戦したいと思えるようにする
のがマネジメントの腕だということです。

目標の難易度

チームメンバーを選べない環境では、
メンバーの特性に合わせて動機付けをしていく必要がありますが、
本来は人集めの段階からこの視点を持っておくべきです。

そのような観点で、
「目標の魅力度(達成したい)」と「実現可能性(できそうだ)」
の使い分けに関する事例を二つ紹介してみたいと思います。

一つは京都大学のアメリカンフットボール部の話です。
スポーツ推薦のない京都大学の学生が私立の強豪校に勝つためには、

それなりの厳しい練習を経て、辛い日々を過ごすことが必要になります。


しかし、そもそもその環境に耐えうる人間を入部させないと勝負になりません。 

アメフト経験者が殆どいない中から素養のある人間をいかに多く入部させるか、

それが日本一に向けての最初の関門になるということです。

その勧誘はシンプルな仕組みでした。 

やったことのないスポーツの面白さが分からない奴に
厳しい練習を課しても頑張れない。
 

まずはやらせてみる。やり始めると体に変化が生じる。
 
力が強くなり、それなりのプレーが出来ると面白くなってくる。
 
周りにアメフトに懸けて頑張っている仲間がいると、
自分も負けたくないと競い始める。

頑張れば自分次第で日本一になれる環境であることに気がつき、打ち込み始める。

という流れを想定し、防具を貸し与えて「まずやってみなはれ」と声をかけるのです。

それにより体の大きな選手を大量に確保できたアメリカンフットボール部は
4度の日本一を勝ち取ることができたという話です。

企業の場合は、簡単に辞めさせられないなど条件の違いはあるでしょうが、

ポイントは、「最初から自分と同じ水準の志を求めない」

「仕事が上達して楽しくなるまでの道筋を作ってあげる」でしょうか。
初心者の自己効力感を高め、挑戦したいと思えるように変えていくアプローチです。

もうひとつの事例は採用後に途中で辞めさせるわけにはいかない事例です。
イギリスの冒険家、アーネスト・シャクルトンの有名な話があります。

簡単に紹介すると、
南極大陸横断のために、
27人の乗組員を集めて出発したのですが、


例年より早く始まった厳冬により、氷塊に船が掴まってしまいます。

10ヶ月の漂流ののち、氷の圧迫により船には亀裂が入り、沈没。

氷上で行き場を失った乗組員たちは3隻の救命ボートで小さな島に辿り着き、

さらに800マイルの荒波を超えて生還したという話です。

この冒険物語が素晴らしい点は、全員が生還していることにあります。

遭難にあってからの知恵や勇気ある決断など学ぶべきことは多々あるでしょうが、

そのような素養を持った人材を集めた手腕こそが素晴らしいのかもしれません。


その求人広告は以下のような文面だったということです。
「男子求む。危険な旅。低賃金。極寒。闇の中での長い歳月。危険と隣り合わせ。
 
 生還の保証せず。ただし成功すれば名誉と賞賛が贈られる」

得られるものが魅力的であることは先程の事例と同じですが、
「最初から腹をくくらせて挑戦することを決断させる」
ことも一つのアプローチであるということです。

目標の魅力度を高める工夫を意図して行うことはとても大切なのですが、
「会社の目標だから」で済ませてしまっているケースもよく目にします。
今一度、「目標の魅力度(達成したい)」と
「実現可能性(できそうだ)」のコントロールを考えてみてほしいと思います。

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