大航海時代に人を求む

最近、採用に関する相談を受けることが増えています。
「主体的に行動できる人間がとれない」
「コミュニケーション能力の高い人間がいない」
「せっかく採用したのに簡単に辞める」
といったように、思い通りに人を集められていないようです。
参考になる話を二つ紹介してみたいと思います。

◆一つは私の大学時代のアメリカンフットボール部の話 。
京都大学の学生が私立の強豪校に勝つためには、
それなりの厳しい練習を経て、辛い日々を過ごすことが必要になります。
しかし、そもそもその環境に耐えうる人間を入部させないと勝負になりません。
アメフト経験者が殆どいない新入生の中から素養のある人間をいかに多く入部させるか、
それが日本一に向けての最初の関門になるということです。

当時はシンプルな仕組みで成功していました。
⇒やったことのないスポーツの面白さが分からない奴に
 厳しい練習を課しても頑張れない。
 ⇒まずはやらせてみる。やり始めると体に変化が生じる。
 力が強くなり、それなりのプレーが出来ると面白くなってくる。
 ⇒周りにアメフトに懸けて頑張っている仲間がいると、
 自分も負けたくないと競い始める。
 ⇒頑張れば自分次第で日本一になれる環境であることに気がつき、
 学業を忘れて打ち込んでしまう。
ということで、防具を貸し与え「まずやってみなはれ」と声をかけるのです。

実際に私の学年は、グランドに見学に来た新入生は200人くらいで
入部したのが100名ちょっと。
2年生になると半分に減り、最終的には30人くらいが残ったでしょうか。

 

企業の場合は、簡単に辞めさせられないなど条件の違いはあるでしょうが、
ポイントは、「最初から自分と同じ水準の志を求めない
頑張り成長できる環境があること」でしょうか。

◆もうひとつの事例は採用後に途中で辞めさせるわけにはいかない事例です。

イギリスの冒険家、アーネスト・シャクルトンの有名な話があります。
簡単に紹介すると、
南極大陸横断のために、27人の乗組員を集めて出発したのですが、
例年より早く始まった厳冬により、氷塊に船が掴まってしまいます。
10ヶ月の漂流ののち、氷の圧迫により船には亀裂が入り、沈没。
氷上で行き場を失った乗組員たちは3隻の救命ボートで小さな島に辿り着き、
さらに800マイルの荒波を超えて生還したという話です。

この冒険物語が素晴らしい点は、全員が生還していることにあります。
遭難にあってからの知恵や勇気ある決断など学ぶべきことは多々あるでしょうが、
そのような素養を持った人材を集めた手腕こそが素晴らしいのかもしれません。
その求人広告は以下のような文面だったということです。

「男子求む。危険な旅。低賃金。極寒。闇の中での長い歳月。危険と隣り合わせ。
 生還の保証せず。ただし成功すれば名誉と賞賛が贈られる」

得られるものが魅力的であることは先程の事例と同じですが、
母集団が大きい場合は、「本当に必要とする人物像を絞り込む」ことで
本当に必要とする人物と出会える可能性が高まるのだと思います。

採用活動とは経営の根幹に関わる奥の深い営みですね。

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