成長した後になってみないと分からないこと

ヒトとチンパンジーの違いの一つ取り上げると
「ヒトは狩猟採集民であった時代から、
加工したり調理をする必要のある食糧を食べてきたのに対し、
チンパンジーは果実やシロアリなど、
ただ見つけて集めればよいものを食べている」ということがある。

食べ物を加工したり調理をすることを学ぶには時間や練習が必要だが
一旦学習してしまえば、膨大な余剰カロリーを生み出し
子供に分け与えることができるようになった。

すなわち、ヒトは他のどの動物よりも多くを子供時代に借り受け、
大人になってから子孫に返しているということになる

これは現代の多くの企業や社会にも当てはまる。
殆どの新人は自分の給料分を稼ぐことはできない。
学び成長し、膨大な余剰利益を生み出せるようになった後で、
何年もかけて返していくのである。

つまり「後輩の将来の能力を信じて育成する」という営みは
集団の存続において最も重要であるということなのですが、
今育成の障害になっている考え方が世の中を支配しつつある。

それは「やる前から結果の保証を求める」という考え方です。
「それをやると本当に効果があるのですか?」
「本当にそれをやっていて成功するのですか?」
という質問を受けることはないでしょうか?
そういう質問をする人を育成するのは難しい。

3つほど参考例をあげてみます。
❶このような場合人は成長できるのでしょうか?
「私が言うとおりの勉強をして、これだけの問題を解けば東大に合格します」
というような方法論があって、真面目にそれをこなして東大に受かったとします。
その人は本当に成長できたのでしょうか?

問題の解き方や知識は増えたかもしれませんが、
見えている世界に全く変化がないのではないかと思います。
その人に
将来の保証がないと不安になったり
リスクや間違いを恐れたり、
過去や他人と比較をしてしまう、
といった特徴があったとすると、この方法ではまず変わりません。

❷狩猟民族の場合で考えると、
「あそこの山に行って、この武器でこうすれば獲物がとれるよ」

ということを教えられただけの人は、
はたして自分で獲物のいる場所を探し当てたり、
獲物の獲り方を発見できるでしょうか?
まず無理でしょう。

❸これも先日教わったことですが、
物理学というものは、顕微鏡を作り出す学問なのだそうです。
どういうことかというと、
既にある顕微鏡を使って、「それで何が見えるか?」
を研究するのではなく、
「これが見たい」というものが出発点にあって、
それを見
るために何が必要かを探求するのだそうです。
本当にクリエイティブな人を育成する際に忘れてはならない視点です。

 

いくつか例をあげましたが、
育成に必要なことは、
「こういう世界がある」という世界に憧れさせて、
そこに至る道を自分で発見させる事です

「この人のようになりたい」
「こういう存在になりたい」
「こんなことができるようになりたい」という事が先にあって、

そのためにどうすべきかを探求していくのです。

結果の保証を求める人は、その探求をしないことが多いのです。
成長した後の世界は成長した後になってみないと分からない」のですが、
その世界のことを頭で理解しようとして、
頭で理解できないと行動が起きない。

そうなってくると、
育成する側に求められることは

自分が魅力的な存在であること、
その世界を垣間見せてあげること、
説明できないことかもしれないが言葉を尽くすこと、でしょう。
そういう事を大事にしていきたいと思うのであります。

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